舞鶴弁

舞鶴弁
話される国 日本の旗 日本
地域 舞鶴市
言語系統
言語コード
ISO 639-3
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舞鶴弁(まいづるべん)は、京都府舞鶴市で話される日本語の方言である。近畿方言の一つ。

概要

舞鶴市は旧丹後国に属するが、宮津市京丹後市で話される丹後弁とは異なる点が多い。丹後弁では断定の助動詞に「だ」を用い、アクセントは東京式であるのに対し、舞鶴弁では「や・じゃ」を用い、アクセントは垂井式である。

京都府の方言区画[1]

文法

ちゃった・とって

舞鶴弁では、「連用形+て(や)」で敬意を表すテヤ敬語がある[2]。過去形は「ちゃった[3]、進行・継続は「とって」で表す。「ちゃった」は「ちゃった弁」として親しまれるポピュラーな舞鶴弁であり、毎年7月下旬に舞鶴市で行われている「みなと舞鶴ちゃったまつり」は、これに由来する。

「〜ちゃった」は「〜された」、「〜とって」は「〜しておられる」という意味を表し、それぞれ京都弁の「はった」、「てはる」と同等の、軽い敬意を込めた表現である。自分以外であれば、同年齢であっても年長者であっても、また、近所の子ども相手であっても使える表現である。

この「テヤ敬語」は舞鶴弁だけでなく丹波弁播州弁岡山弁でも用いられる。

用例
「買い物に出かけられた」→「買い物に出かけちゃった」
「〜さんはお帰りになった」→「〜さんは帰っちゃった」
「来てくれた」→「来てくれちゃった(やや丁寧な言い回し)」「来ちゃった(フラットな言い回し)」
「言っておられるよ」→「言うとってやで」
「しているんじゃないか?」→「しとってんちゃうん?」
「ご飯を食べておられるのか?」→「ご飯、食べとってか?」

その他

やって
「って言っているのか?」→「やってか?」
うら 
「後ろ・奥」を意味する。
 「○○の後方座席に乗る」→「○○のうらに乗る」
 「タンスの奥の方」→「タンスのうらの方」
連用形+ないな
「〜しなよ」という軽い命令・促しの表現。丹後弁や丹波弁(ただし北部のみ)でも用いる。
「しないな」「食べないな」
連用形+よった
〜しそうになった。丹波弁でも用いる。
「〜か」にあたる疑問の終助詞。丹波でも広範囲で用いられる。
「するんこ?」「行くんこ?」

語彙

  • えらい-しんどい。
  • がら-肉類・魚甲殻類等の食べた後の残渣。ただの食べた後のゴミは「がら」にはならない。用法が難しい。
  • がら入れ-がらを入れる入れ物。小皿から大鉢まで何でも対象になる。
  • しんけん-とても。「しんけん痛い」
  • ねしくる-なすりつける・こすりつける
  • ほかす-捨てる。京都府全域で用いる。
  • わや-滅茶苦茶

関連項目

脚注

  1. ^ 楳垣編(1962)256-268頁。
  2. ^ 楳垣編(1962)281-283頁。
  3. ^ 楳垣編(1962)281頁。

参考文献

  • 奥村三雄「京都府方言」楳垣実編『近畿方言の総合的研究』256-300頁、三省堂、1962年。
  • 平山輝男ほか『日本のことばシリーズ 26 京都府のことば』明治書院、1997年
  • 堀井令以知『京都府ことば辞典』おうふう、2006年
*は言語島の方言
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