指数分布

指数分布
確率密度関数
Probability density function
累積分布関数
Cumulative distribution function
母数 λ ( = 1 / θ ) > 0 {\displaystyle \lambda (=1/\theta )>0}
[ 0 , ) {\displaystyle [0,\infty )}
確率密度関数 λ e λ x {\displaystyle \lambda e^{-\lambda x}}
累積分布関数 1 e λ x {\displaystyle 1-e^{-\lambda x}}
期待値 1 / λ {\displaystyle 1/\lambda }
中央値 ( ln 2 ) / λ {\displaystyle (\ln 2)/\lambda }
最頻値 0 {\displaystyle 0}
分散 1 / λ 2 {\displaystyle 1/\lambda ^{2}}
歪度 2 {\displaystyle 2}
尖度 6 {\displaystyle 6}
エントロピー 1 ln λ {\displaystyle 1-\ln \lambda }
モーメント母関数 ( 1 t / λ ) 1  for  t < λ {\displaystyle (1-t/\lambda )^{-1}{\text{ for }}t<\lambda }
特性関数 ( 1 i t / λ ) 1 {\displaystyle (1-i\,t/\lambda )^{-1}}
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指数分布(しすうぶんぷ、: exponential distribution)とは、確率論および統計学における連続確率分布の一種である。これは例えばポアソン過程——事象が連続して独立に一定の発生率で起こる過程——に従う事象の時間間隔を記述する。

定義

指数分布は台 (0, ∞) を持ち、母数 λ > 0 に対して確率密度関数

f ( x ; λ ) = λ e λ x {\displaystyle f(x;\lambda )=\lambda e^{-\lambda x}}

で与えられる[1]。このとき、累積分布関数

F ( x ; λ ) = 1 e λ x {\displaystyle F(x;\lambda )=1-e^{-\lambda x}}

となる[2]

尺度母数(英語版) θ = 1/λ を用いると、確率密度関数の等価な定義は

f ( x ; θ ) = 1 θ f ( x / θ ; 1 ) = 1 θ e x / θ {\displaystyle f(x;\theta )={\frac {1}{\theta }}f(x/\theta ;1)={\frac {1}{\theta }}e^{-x/\theta }}

として与えられる。

性質

期待値・分散

定義より、期待値 E(x) および分散 V(x) はそれぞれ以下のようになる[3]

E ( x ) = 1 λ = θ ,       V ( x ) = 1 λ 2 = θ 2 {\displaystyle E(x)={\frac {1}{\lambda }}=\theta ,\ \ \ V(x)={\frac {1}{\lambda ^{2}}}=\theta ^{2}}

他の分布との関係

独立で同一の指数分布に従う確率変数の和はアーラン分布に従う。アーラン分布の形状母数を 1 とすると指数分布に自明に一致する。

また、自由度2のカイ二乗分布θ = 2 の指数分布と一致する。ワイブル分布における係数 m = 1 とおいた特殊な場合でもある。

無記憶性

指数分布は、幾何分布と同様に無記憶性 (memoryless) と呼ばれる性質を持つ。これは、確率変数 X

s , t > 0 ,     P ( X > s + t X > s ) = P ( X > t ) {\displaystyle \forall s,t>0,\ \ P(X>s+t\mid X>s)=P(X>t)}

なる等式を満たすことをいう。すなわち、時刻 s までに事象が生起しなかったという情報が与えられたとき、その事象がさらに t 時間の間生起しない条件付き確率は、(時刻 s まで事象が生起しなかったという情報が完全に忘れ去られ、改めてその時点から観測を始めて)t 時間の間事象が生起しない確率に一致するという意味である。

上述した累積分布関数の定義より、指数分布に従う確率変数がこの性質を満たすことは容易に示される[4]。逆に、この性質を満たす連続確率分布が指数分布のみであることも証明されている[5]

生成

逆関数法を用いて指数分布に従う確率変数を生成することができる。一様乱数 U ( 0 , 1 ) {\displaystyle U(0,1)} で、 x E x p ( λ ) {\displaystyle x\sim \mathrm {Exp} (\lambda )} は以下の式で得られる:

x = 1 λ ln U {\displaystyle x=-{\frac {1}{\lambda }}\ln U}

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Billingsley 2012, p. 275, (20.10).
  2. ^ Billingsley 2012, p. 275, (20.11).
  3. ^ 難波明生. 指数分布 (PDF) (Report). 指数分布の平均と分散の導出
  4. ^ Billingsley 2012, p. 316, (23.2).
  5. ^ Billingsley 2012, pp. 200–201, 316.

参考文献

  • Billingsley, P. (2012). Probability and Measure (Anniversary ed.). Wiley. ISBN 978-1-118-12237-2 

関連項目

外部リンク

離散単変量で
有限台
離散単変量で
無限台
  • ベータ負二項(英語版)
  • ボレル(英語版)
  • コンウェイ–マクスウェル–ポワソン(英語版)
  • 離散位相型(英語版)
  • ドラポルト(英語版)
  • 拡張負二項(英語版)
  • ガウス–クズミン
  • 幾何
  • 対数(英語版)
  • 負の二項
  • 放物フラクタル(英語版)
  • ポワソン
  • スケラム(英語版)
  • ユール–サイモン(英語版)
  • ゼータ(英語版)
連続単変量で
有界区間に台を持つ
  • 逆正弦(英語版)
  • ARGUS(英語版)
  • バルディング–ニコルス(英語版)
  • ベイツ(英語版)
  • ベータ
  • beta rectangular(英語版)
  • アーウィン–ホール(英語版)
  • クマラスワミー(英語版)
  • ロジット-正規(英語版)
  • 非中心ベータ(英語版)
  • raised cosine(英語版)
  • reciprocal(英語版)
  • 三角
  • U-quadratic(英語版)
  • 一様
  • ウィグナー半円
連続単変量で
半無限区間に台を持つ
  • ベニーニ(英語版)
  • ベンクタンダー第一種(英語版)
  • ベンクタンダー第二種(英語版)
  • 第2種ベータ
  • Burr(英語版)
  • カイ二乗
  • カイ(英語版)
  • Dagum(英語版)
  • デービス(英語版)
  • 指数-対数(英語版)
  • アーラン
  • 指数
  • F
  • folded normal(英語版)
  • Flory–Schulz(英語版)
  • フレシェ
  • ガンマ
  • gamma/Gompertz(英語版)
  • 一般逆ガウス(英語版)
  • Gompertz(英語版)
  • half-logistic(英語版)
  • half-normal(英語版)
  • Hotelling's T-squared(英語版)
  • 超アーラン(英語版)
  • 超指数(英語版)
  • hypoexponential(英語版)
  • 逆カイ二乗(英語版)
    • scaled inverse chi-squared(英語版)
  • 逆ガウス
  • 逆ガンマ
  • コルモゴロフ
  • レヴィ
  • 対数コーシー
  • 対数ラプラス(英語版)
  • 対数ロジスティック(英語版)
  • 対数正規
  • ロマックス(英語版)
  • 行列指数(英語版)
  • マクスウェル–ボルツマン
  • マクスウェル–ユットナー(英語版)
  • ミッタク-レフラー(英語版)
  • 仲上(英語版)
  • 非心カイ二乗
  • パレート
  • 位相型(英語版)
  • poly-Weibull(英語版)
  • レイリー
  • relativistic Breit–Wigner(英語版)
  • ライス(英語版)
  • shifted Gompertz(英語版)
  • 切断正規
  • タイプ2ガンベル(英語版)
  • ワイブル
    • 離散ワイブル(英語版)
  • ウィルクスのラムダ(英語版)
連続単変量で
実数直線全体に台を持つ
連続単変量で
タイプの変わる台を持つ
  • 一般極値
  • 一般パレート(英語版)
  • マルチェンコ–パストゥール(英語版)
  • q-指数(英語版)
  • q-ガウス
  • q-ワイブル(英語版)
  • shifted log-logistic(英語版)
  • トゥーキーのラムダ(英語版)
混連続-離散単変量
  • rectified Gaussian(英語版)
多変量 (結合)
【離散】
エウェンズ(英語版)
多項
ディリクレ多項(英語版)
負多項(英語版)
【連続】
ディリクレ
一般ディリクレ(英語版)
多変量正規
多変量安定(英語版)
多変量 t(英語版)
正規逆ガンマ(英語版)
正規ガンマ(英語版)
行列値
逆行列ガンマ(英語版)
逆ウィッシャート(英語版)
行列正規(英語版)
行列 t(英語版)
行列ガンマ(英語版)
正規逆ウィッシャート(英語版)
正規ウィッシャート(英語版)
ウィッシャート
方向
【単変量 (円周) 方向
円周一様(英語版)
単変数フォン・ミーゼス
wrapped 正規(英語版)
wrapped コーシー(英語版)
wrapped 指数(英語版)
wrapped 非対称ラプラス(英語版)
wrapped レヴィ(英語版)
【二変量 (球面)】
ケント(英語版)
【二変量 (トロイダル)】
二変数フォン・ミーゼス(英語版)
【多変量】
フォン・ミーゼス–フィッシャー(英語版)
ビンガム(英語版)
退化特異
  • 円周(英語版)
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